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『高齢社会は成熟の社会』
例会プログラム 2003年9月12日

北海道医療大学
客員教授 高橋  宏


政府のまとめた高齢社会白書によると65歳以上の高齢者は2360万人を超えたという。75歳以上の後期高齢者も1000万人を超えている。もしも高齢者が衰えるもの、役に立たないものならば、日本は社会のお荷物であふれていることになる。高齢者医療費と福祉の費用が増加することで、福祉亡国論が囁かれるのも無理のないことである。

しかし、高齢者は衰弱ではなく成熟するものである。老年医学によると、75歳くらいまでは知力、体力、内臓機能も50歳代と大差ないという。実際に最近の研究によると人間のIQは、一般的に考えられているよりも、はるかに長期にわたって上昇する。実はIQが一番高くなるのは60歳代なのである。そしてこれは平均値だから、努力すればそれ以後も上昇する。この会場にも高齢者の姿が見受けられるが、ここにいる高齢者が社会のお荷物であるはずがない。

成熟した高齢者が社会に貢献する場は多い。その第一は、@質の高い労働力としてである。60歳での定年は、IQが最も高いところで引退することになる。これは21世紀の高齢社会には適さない。第二はA賢者の持つ投票券を政治の場で是非使ってもらいたい。2360万票を使えば日本の政治は大きく変えられる。第三はB親子を結ぶ知恵袋となって日本のよき伝統を取り戻してほしい。日本の家庭は、子どもにとって下宿屋になってしまった。幼児期の教育が適切になされないために、嘆かわしい犯罪が多発している。海の魚を蘇らせるためには、山に木を育てなければならない。回り道のようだが凶悪犯罪をなくすためには幼児期の教育が大切なのである。動物実験によると縦の線しか見せられないで育てられれば、視神経は横の線に反応しなくなると報告されている。幼児期に良いことと悪いことの区別をきちんと教えることの重要性を示している。子どもの育て方に迷っている若い父母に経験豊かな高齢者の知恵と知識を提供してやらなければならない。衣食足りて礼節を忘れた世代に人間社会のあるべき姿を教えてやってほしい。「老人がしっかり国を支えていかないと日本はもたない」という人もいる。



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