
| 『児童虐待の現状と課題―子育て支援策の充実を求めて』 |
例会プログラム 2002年11月29日
社会福祉法人 札幌育児園
児童養護施設 札幌育児園 施設長 千葉 徹
今日、新聞・テレビなどのマスメディアから「虐待」という言葉が聞かれない日がないほど社会問題化しておりますが、虐待は、親の問題、子供の問題、家族の問題、生活の問題などが連鎖的に交互作用し、親はその状況からストレスを抱き込み、自己コントロールができなくなって起きています。このような虐待の背景にある家庭の問題解決力の低下は、今日では特別なことではなく、親としての育ちが未熟と言われ、近隣関係の希薄化から、親が孤立しがちになっていること等を考え合せると、虐待はどこの子育て家庭でも起き得る問題とみなさなければなりません。
虐待への対応は、マスメディアが伝える虐待の多くが重度ケースであるため、介入や親子分離が虐待の予防、防止の中心であるかのように見られがちですが、虐待の7割以上は軽・中度のケースで、在宅を継続しながらの援助になっています。具体的には、親の子育て負担の軽減に向けた子育て支援サービスの活用や、親の養育知識・技術習得への援助、親や子供への援助、父母や家庭の関係調整などが行われており、子育て支援が中心になっています。
虐待の予防・防止において、子育て負担軽減などの子育て支援は、欠かすことのできない援助であり、両者は表裏一体の関係として、個々のケースへ展開されていくことが必要で、保健・福祉・教育などの子育てに関係する分野から多くの支援策や、相談窓口が設置されています。しかしそれらの多くは、一般的な子育て家庭への支援策としても個別の状況に応じた「個別化」と「具体的な手解き」や「訪問によるサービス提供」に弱さがあり、「情報と場の提供」としてしか機能していません。またサービス提供体制においても、利用者のニーズは「必要なとき直ぐに」が充足される「時間と場所」を求めておりますが、現行のサービス提供体制は「時期と地域」を基にしたサービス提供であり、ニーズを充足できずにおります。
子育ての支援と虐待の予防・防止が表裏一体の関係にあり、現行の支援策が一般的な子育て家庭への支援策としても不足をきたしている現状は、そのサービス内容や提供方法について早急に改善される必要があります。
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